中小企業退職金共済制度
制度の概要
中退共制度は、昭和34年に中小企業退職金共済法に基づき設けられた中小企業のための国の退職金制度です。
この中退共制度は、独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部(中退共)が運営しています。
制度の目的
中小企業者の相互共済と国の援助で退職金制度を確立し、これによって中小企業の従業員の福祉の増進と、中小企業の振興に寄与することを目的としています。
制度のしくみ
事業主が中退共と退職金共済契約を結び、毎月の掛金を金融機関に納付します。従業員が退職したときは、その従業員に中退共から退職金が直接支払われます。
退職金について
退職金の額
受け取る退職金の額は、退職金 = 基本退職金 + 付加退職金 となる。
基本退職金:掛金月額と納付月数に応じて固定的に定められている金額で、制度全体として予定運用利回りを1.0%として定められた額です。なお、予定運用利回りは、法令の改正により変わることがあります。
付加退職金:運用利回りが予定運用利回りを上回った場合、これを基本退職金に上積みするもので、運用収入の状況等に応じて定められる金額です。
具体的には、掛金納付月数の43月目とその後12か月ごとの基本退職金相当額に、厚生労働大臣が定めるその年の支給率を乗じて得た額を、退職時まで累計した総額です。
退職金の支払方法
一時払い:退職金の全額を退職時に支払う
分割払い:分割払いには、全額分割払いと一部分割払い(併用払い)
※全額分割払い及び一部分割払い(併用払い)共に一定の要件がある。
退職金の税金
一時金払いによるものは税法上「退職手当等」とみなされ、他の所得と区分して課税されます。
分割払いによる支払い分は、雑所得として、課税されます。
退職所得に対する税額の算出方法は、
課税対象所得額 = (退職所得額−退職所得控除額) × 2分の1
税額 = 課税対象所得額 × 税率
※退職所得控除額は、退職者の勤続年数に応じ計算した額です。
制度の特徴
- 国の助成金制度がある:新規加入助成、月額変更助成
- 掛金が全額非課税となる:法人企業の場合は損金、個人企業の場合は必要経費
- 管理し易い:毎月の掛金は口座振替で納付でき、加入後の面倒な手続きや事務処理もなく従業員ごとの納付状況、退職金額を事業主にお知らせしますので、退職金の管理が簡単です。
- 自由な掛金月額の選択:従業員ごとに16種類(5,000〜30,000円)から選択できます。
また、掛金月額はいつでも変更できます。
- 通算制度の充実:過去勤務期間及び企業間を転職した場合、特定退職金共済制度との通算もできます。
- 退職金受け取り方法の選択:一時払い、全部又は分割して受け取ることが可能
- 掛金月額の変更可能:掛金月額の減額をその従業員が同意した場合、現在の掛金月額を継続することが著しく困難であると厚生労働大臣が認めた場合
加入の条件
加入できる企業(共済契約者)
この制度に加入できるのは、次の企業です。ただし、個人企業の場合は、常用従業員数によります。
業種 |
常用従業員数 |
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資本金・出資金 |
一般業種(製造業、建設業等)
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300人以下
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または
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3億円以下
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卸売業
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100人以下
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または
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1億円以下
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サービス業
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100人以下 |
または |
5千万円以下
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小売業
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50人以下 |
または
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5千万円以下
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常用従業員とは、一週間の所定労働時間が同じ企業に雇用される通常の従業員とおおむね同等である者であって、
- 雇用期間の定めのない者
- 雇用期間が2か月を超えて雇用される者
をいいます。
加入後、従業員の増加等により、中小企業でなくなった場合、
- 従業員の同意
- 確定給付企業年金制度・特定退職金共済制度を実施した旨の申出
といった一定の要件を備えていれば、確定給付企業年金制度・特定退職金共済制度に引き継ぐことができます。
加入させる従業員(被共済者)
従業員は原則として全員加入させてください。ただし、次のような人は加入させなくてもよいことになっています。
- 期間を定めて雇われている人
- 試みの雇用期間中の人
- 休職期間中の人
- 定年などで短期間内に退職することが明らかな人
加入できない方、加入できない場合
個人企業の事業主、その配偶者および同一生計の家族従業員は加入できません。
ただし、家族従業員で、その就労の実態が他の従業員と同様であるなど、事業主との間に雇用関係があれば加入できます。
法人企業の役員は加入できません。ただし、役員であっても、部長・支店長等従業員として賃金・給与等の支給を受けている場合は加入できます。
中小企業退職金共済法に基づく特定業種(建設業、清酒製造業、林業)退職金共済制度との企業の重複加入はできますが、同一の従業員の重複加入はできません。