確定拠出年金は、米国の企業年金法制度401Kをモデルにつくられた「日本版401K」とも呼ばれ、平成13年に成立しました。
企業が各々の従業員の掛金を確定して、給付は運用次第で決まるもので、一方の給付が確定しておりそのためにどれだけの掛金を予定利率何%で運用するかという確定給付年金と対比されます。
1.年金資産を自分で運用し、その結果に応じて年金額が決定される。 |
2.年金資産が個人別に区分され、残高の把握や転職時の資産の移行が容易である。 |
3.企業規模を問わず実施することが可能である。 |
確定拠出年金には自営業者等が加入できる「個人型年金」(掛金は個人が拠出)と、企業が導入し、従業員を加入させる「企業型年金」(掛金は企業が拠出)の2タイプがあります。ただし、公務員と専業主婦は加入できません。
受けられる給付としては、脱退一時金、障害給付金、老齢給付金、死亡したとき遺族が受ける脱退一時金の設計が可能です。
確定救出年金に加入できる者
民間のサラリーマン等(第2号被保険者)と自営業者等(第1号被保険者)です
企業型の加入対象者
60歳未満の者。企業の従業員が対象ですが、厚生年金保険の加入者であれば社長でも加入対象になります。
個人型の加入対象者:
1.企業型年金を実施していない企業で企業年金等(適格退職年金、厚生年金金、確定給付企業年金)がない従業員が対象となります。
2.国民年金法第1号被保険者(個人事情主等)(ただし国民年金基金に月額68,000円まで拠出している期間、国民年金保険料滞納者期間中は掛金を拠出することができません。)
確定拠出年金へ加入できない者
専業主婦等(第3号被保険者)と公務員(国家公務員、地方公務員)です。
ところが、加入者となる従業員のほとんどは、リスクのある資産運用経験に乏しく、企業年金運用と同レベルの効率的な運用をいきなり独力で行うのは難しいのが実情です。そこで、事業主には従業員に対して適切な投資教育を施す義務があるとされています。この規定自体に罰則規定はありませんが、加入者から退職後に訴訟等を起こされるリスクがあることも忘れてはなりません。
投資教育は確かに事業主にとって負担かもしれませんが、確定拠出年金導入の趣旨を踏まえ、加入者の利益のためにも事業主のコンプライアンスの観点からも、しっかりと投資教育を実施することが必要といえます。
確定拠出年金のメリットのひとつに、勤務先が変わっても継続でき、引き続き年金資産を増やすことができます。これをポータビリティ(持ち運び)があるといいますが、転職先によってポータビリティは異なります。
転職先に |
年金資産を転職先が契約している資産管理機関に移して、引き続き拠出対象者として年金資産の運用ができます。 | |
転職先に |
他の企業年金(適格退職年金・厚生年金基金・確定給付企業年金)がない場合 |
個人型の確定拠出年金に加入することができる。この場合、年金資産を国民年金基金連合会に移し個人拠出の年金(個人型年金)として継続できる |
他の企業年金(適格退職年金・厚生年金基金・確定給付企業年金)がある場合 |
転職先に企業年金(適格退職年金・厚生年金基金・確定給付企業年金)があると個人型年金に加入できませんが、年金資産を国民年金基金連合会に移し、運用の指図(追加供出できない)のみを行ないます。 |
企業側 |
従業員側 |
退職金制度の人材定着促効果の減退 |
自分自身が投資運用をするので、もらう時まで受給額が確定しない。 |
基本金連動型の退職金制度を取っていた場合、勤続年数が長いほど退職時の支給が多くなり、従業員の他社への流出を抑制する効果が期待できたがその効果が期待できない。 |
自身により常に投資に対する情報収集等を行う必要があり、運用のリスクを自らが負うことになる。 |
年金資産の管理コストや運営コスト(従業員への投資教育等)の新たなコストの発生。 |
原則、年金資産を中途で引き出すができない。 |
導入にあたって、従業員の投資教育の実施は会社の義務となります |
投資教育を受けたとしても運用リスクの軽減に必ずしも担保するとは限らない。 |
移行の際に積立不足がある場合、その解消が求められる
一括解消か、給付水準の引き下げか
給付水準の引き下げは退職金の引き下げになるので労働条件の不利益変更に該当することになり、従業員の同意が必要となります
移行の成否は、労働者、使用者の合意が必須