労働保険



労働保険とは


 労働保険とは労働者災害補償保険(一般に「労災保険」といいます。)と雇用保険とを総称した言葉であり、保険給付は両保険制度で別個に行われていますが、保険料の納付等については、両保険は労働保険として、原則的に、一体のものとして取り扱われています。
 労働保険は、農林水産の事業の一部を除き、労働者を一人でも雇っていれば適用事業となり、その事業主は成立手続を行い、労働保険料を納付しなければならないことになっています。


労働保険の設立手続き

 

設立手続き等の方法

 


保険関係成立届、概算保険料申告書

 
労働保険の適用事業となったときは、まず労働保険の保険関係成立届を所轄の労働基準監督署又は公共職業安定所に提出します。そして、その年度分の労働保険料(保険関係が成立した日からその年度の末日までに労働者に支払う賃金の総額の見込額に保険料率を乗じて得た額となります。)を概算保険料として申告・納付していただくこととなります。

雇用保険適用事業所設置届、雇用保険被保険者資格取得届

 
雇用保険の適用事業となった場合は、上記のほかに、雇用保険適用事業所設置届及び雇用保険被保険者資格取得届を所轄の公共職業安定所に提出しなければなりません。


一元適用事業の場合

 届書  届け出先
1)保険関係成立届
(保険関係が成立した日から10日以内)

 所轄の労働基準監督署
 (2)概算保険料申告書
(保険関係が成立したから50日以内)

所轄の労働基準監督署

所轄の都道府県労働局

日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)でも可)のいずれか
 

(3)雇用保険適用事業所設置届

(設置の日から10日以内
 所轄の公共職業安定所
 

(4)雇用保険被保険者資格取得届(資格取得の事実があった日の翌月10日まで)

 所轄の公共職業安定所

注.(1)の手続を行った後又は同時に、(2)(4)の手続を行います。

 

二元適用事業の場合

※二元適用事業とは、その事業の実態からして、労災保険と雇用保険の適用の仕方を区別する必要があるため、保険料の申告・納付等をそれぞれ別個に二元的に行う事業です。一般に、農林漁業・建設業等が二元適用事業で、それ以外の事業が一元適用事業となります。

 

1.労災保険に係る手続き

届書
 届け出先
 (1)労災関係成立届
(保険関係が成立した日から10日以内)

 所轄の労働基準監督署
  (2)概算保険料申告書(保険関係が成立した日から50日以内)

所轄の労働基準監督署

所轄の都道府県労働局

日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)でも可)のいずれか


注.(1)の手続を行った後又は同時に、(2)の手続を行います。

 

2.雇用保険に係る手続き


 届書

 届け出先

 (1)労災関係成立届
(保険関係が成立した日から10日以内)
 所轄の公共職業安定所
 

(2)概算保険料申告書

(保険関係が成立した日から50日以内)
 

所轄の都道府県労働局

日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)でも可)

のいずれか
 

(3)雇用保険適用事業所設置届(設置に日から10日以内)

 所轄の公共職業安定所
 

(4)雇用保険被保険者資格取得届(資格取得の事実のあった日の翌月10日まで)

 所轄の公共職業安定所

注.(1)の手続を行った後又は同時に、(2)(4)の手続を行います。

 

成立手続を怠っていた場合には

 

 成立手続を行うよう指導を受けたにもかかわらず、自主的に成立手続を行わない事業主に対しては、行政庁の職権による成立手続及び労働保険料の認定決定を行うこととなります。その際は、遡って労働保険料を徴収するほか、併せて追徴金を徴収することとなります。

 

 また、事業主が故意又は重大な過失により労災保険に係る保険関係成立届を提出していない期間中に労働災害が生じ、労災保険給付を行った場合は、事業主から遡って労働保険料を徴収(併せ追徴金を徴収)するほかに、労災保険給付に要した費用の全部又は一部を徴収することになります。


 

労働保険料の申告・納付

労働保険の年度更新

 労働保険の保険料は、年度当初に概算で申告・納付し翌年度の当初に確定申告の上精算することになっており、事業主の皆様には、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を併せて申告・納付していただくこととしています。これを、「年度更新」といい、原則として例年41日から520日までの間にこの手続を行っていただきます。

労働保険料の延納(分割納付)

 概算保険料額が40万円(労災保険か雇用保険のどちらか一方の保険関係のみ成立している場合は20万円)以上の場合又は労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合は、原則として下記のとおり、労働保険料の納付を3回に分割する事ができます。


bun.gif

 

※労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合には、納期限が831日のものについては原則として914日、納期限が1130日のものについては原則として1214日となります。

 101日以降に成立した事業については、延納が認められませんので、成立した日か
331日までの期間の保険料を一括して納付していただくことになります。

有期事業については、事業の全期間が6ヵ月を超え、かつ概算保険料の額が75万円以上のものはおおむね上記に準じた方法で分割納付が認められます。

増加概算保険料の申告・納付

 現行、年度の中途において、事業規模の拡大等により賃金総額の見込み額が当初の申告より100分の2002倍)を超えて増加し、かつ、その賃金総額によった場合の概算保険料の額が申告済の概算保険料よりも13万円以上増加する場合は、増加額を増加概算保険料として申告・納付することとなっています。

 

労働保険料の負担割合

 労働保険料は、労働者に支払う賃金総額に保険料率(労災保険率+雇用保険率)を乗じて得た額です。そのうち、労災保険分は、全額事業主負担、雇用保険分は、事業主と労働者双方で負担することになっています

       改定後(H19年概算保険料)改定前(H18年確定保険料)

 

改定後(H19年概算保険料

を計算するのに用いる) 

改定前(H19年確定保険料

を計算するのに用いる)  

事業の種類

保険率

事業主

負担率

被保険者

負担率

保険率

事業主

負担率

被保険者

負担率

一般の事業

15/1000

9/1000

6/1000

19.5/1000

11.5/1000

 8/1000

農林水産
清酒製造の事業

17/1000

10/1000

7/1000

21.5/1000

12.5/1000

9/1000

建設の授業

18/1000

9/1000

7/1000

22.5/1000

13.5/1000

9/10000

※平成19年度より雇用保険率が改定されました。


 

雇用保険の被保険者負担額と端数処理について 

 

 雇用保険の被保険者負担額は、労働者(被保険者)に支払われた賃金額に被保険者負担率をかけて算定します。(なお、以前用いられたいた一般保険料表については、平成17年3月31日限りで廃止となりました。)

 

 この被保険者負担額については、事業主は、労働者に賃金を支払う都度、その賃金額に応ずる被保険者負担額を、賃金から控除することができます。

 

 この額に1円未満の端数が生じた場合、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」第3条に基づき、債務の弁済額に50銭未満の端数があるときには切り捨て、50銭以上1円未満のときには1円に切り上げることとなります。

 

 なお、この端数処理は、債務の弁済を現金で支払う時点で行うことから、雇用保険の被保険者負担額を賃金から源泉控除する場合には、事業主が被保険者に控除後の賃金を現金で支払う時点で端数処理を行うこととなるため、結果として50銭以下の場合は切り捨て、50銭1厘以上の場合は切り上げとなります。

 

 ただし、これらの端数処理の取扱いは、労使の間で慣習的な取扱い等の特約がある場合にはこの限りではなく、例えば、従来切り捨てで行われていた場合、引き続き同様の取扱いを行ったとしても差し支えありません。

 

労災保険とは

 労働者が業務上の事由又は通勤によって負傷したり、病気に見舞われたり、あるいは不幸にも死亡された場合に被災労働者や遺族を保護するため必要な保険給付を行うものです。

 

 また、労働者の社会復帰の促進など、労働者の福祉の増進を図るための事業も行っています。

 

雇用保険とは

 労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、再就職を促進するため必用な給付を行うものです。また、失業の予防、雇用構造の改善等を図るための事業も行っています。