労務管理とは
「労働生産性を高める目的から、企業がその従業員に対して行う管理。人事・教育訓練・福利厚生・労働組合対策・人間関係管理などを含む」ことです。(大辞林 第二版より)しかし最近は企業リスクの観点からも、労務管理を強化せざるを得ない状況になりました。
雇用環境の激変(雇用の多様化)
労働者といえば、ひと昔前まではフルタイムで働く正社員を指していました。しかし、最近は、契約社員、派遣社員、パートタイマーなど正社員以外の雇用形態で働く労働者(非正規雇用者)が増えています。
当然ながらこれらの労働者にも正社員同様に労働基準法の適用、労働保険・社会保険の適用(一定の条件下)の適用がなされます。
昨今、行政からの偽装請負に対する是正指導、又派遣労働者のデータ装備費不当天引き訴訟等、非正規雇用者巡る環境が著しく変わっている事にお気づきでしょう。行政も非正規雇用者へ関心を高め、今後法改正等も含め非正規雇用者の権利保護への動きは加速するものと考えられます。また、労働組合の組織率は年々減っていますが、非正規雇用者の権利意識拡大に伴う労働組合への加入が増えて行く可能性が高くなることも考えられます。
今後、正社員の雇用以上に非正規労働者の労務管理に注意を払わなければならなくなることが考えられます。早急な労務管理上の手だてを打つ必要があります。
そのうちと先延ばしにしていることほど危険なことはありません。
天災は忘れた頃にやってくる、労務トラブルも同じです。
そうならないためにも常日頃より準備を怠ることなくやっておかなければなりません。
労務管理の必要性
終身雇用などの日本型雇用慣行から米国型の成果主義等への移行などによって雇用の流動化が一般的なものとなった結果、転職等も珍しくなくなりました。少子高齢化の影響もあって、中小企業では新卒の確保が非常に難しく、中途採用を重視するようになりました。
結果様々な背景を持った人が集まって仕事をしているのですから、当然、「普通はこう理解するはず(なのに、してくれない)」「こういうつもりだった(のに誤解された)」というような行き違いが起こります。目指す方向性を明らかにして、個性は個性として受け入れる、そのような社風を作り上げることが重要になってきます。
ただ、分かり合えるまでの時間がかかるようであれば、どこかで線を引くことも必要になってきます。会社は人を思うとおりに教育するところではありませんので、「どうしても常識が通じない」場合の対策を検討することも必要になってきます。コンプライアンスが遂行されず、会社が危険にさらされているときには、なおさらです。